Why→How→Whatで伝える魔法のマーケティング【ゴールデンサークル理論】

この知識はこんな人にオススメ

「コピーライティングやセールストークのスキルを身につけたい人」

「Appleのように人を惹きつけるコンセプトを作りたい人」

ゴールデンサークル理論とは?

サイモン・シネックという人物が提唱した「ゴールデンサークル理論」という言葉があります。

これは、優秀なリーダーがどのようにチームメンバーの行動を促すのかを調べたものです。

今ではマーケティングの世界でも広く使われており、あのAppleも新商品のプレゼンのときにゴールデンサークル理論を実践していたとされています。

ゴールデンサークル理論とは具体的にどんなものを指すのかというと、次の3つのステップでものごとを伝えるテクニックを言います。

  1. Why:なぜ
  2. How:どうやって
  3. What:何を

3つの重なったサークルを、内側から順番にWhy→How→Whatという「ゴールデンサークル」に例えています。

多くの人はWhat→Howしか伝えない

サイモン・シネック氏によれば、多くの企業は内側のサークルからWhy→How→Whatと表現するのではなく、外側からWhat→Howしか伝えられていないと言います。

たとえば、

  1. What:誰でも痩せられるダイエットコンサルを始めました。いかがですか?
  2. How:私と一緒に3ヶ月のプログラムを受ければ、理想の体型が手に入ります。
  3. Why:……。

こんな感じです。

これではコンサルに申し込もうと考えるお客さんはほとんど現れません。

優秀なリーダーはWhy→How→Whatを伝える

逆に、売れるダイエットコンサルは次のような伝え方をしています。

  1. Why:スリムになって幸福な人生を送れる人をもっと増やしたい、と私は考えています。
  2. How:一緒に3ヶ月のプログラムを受ければ、理想の体型が手に入ります。
  3. What:誰でも痩せられるダイエットコンサルを始めました。いかがですか?

まず最初に、自分の価値観や商品・サービスにかける想いを伝える。

そのあとに具体的な商品・サービスの内容や特徴を伝えていくわけです。

「こんな素晴らしいものを開発したんですが、買いませんか?」と言われても、誰も心は動かされません。

一方で、「私の過去のコンプレックスからこんな商品を開発しました。買いませんか?」と伝えると、お客さんの共感を呼ぶことができる。

だから売り上げが伸びるのです。

なぜAppleには熱狂的なファンが多いのか?

実際、Appleもこのゴールデンサークル理論を実践していました。

Appleは、「iPhoneはこんなに素晴らしい商品です。買いませんか?」みたいなプレゼンは絶対にやりません。

  1. Why:私たちは世界を変えるという信念で活動しています。
  2. How:世界を変えるために、美しく、誰もが親しみやすく使えるようデザインしました。
  3. What:そんなiPhoneを1つ買いませんか?

多くの企業とは違い、最初にWhyを持ってくるからこそ、Appleの信念や価値観に共感するファンが生まれるというわけですね。

ゴールデンサークル理論を実践したジョブズ

創業期のAppleは、今のように世界トップのIT企業というわけではありませんでした。

Appleより高い技術力を持った会社はいくらでも存在していたのです。

しかしApple以外の会社は、商品の特徴(What)やどんな優れた機能を持っているのか(How)しか伝えなかったため、買ってもらえなかったんですね。

脳科学的にも正しいゴールデンサークル理論

サイモン・シネック氏は、ゴールデンサークル理論は脳科学の原理にもとづいていると述べています。

私たちの脳には、原始的な脳(大脳辺縁系)と、理性的な脳(大脳新皮質)という2つの脳が存在します。

このうち原始的な脳は、感情や本能の働きに関係があり、人を動かすパワーも大きい。

理性的な脳は、分析や合理的な判断を得意としますが、人を動かすパワーは小さくなります。

原始的な脳はWhyを理解しやすい

Appleの信念のようなWhyのメッセージは、感情を強く動かします。

ということは原始的な脳を突き動かし、人を強力に行動させるということです。

Why→How→Whatの順番で伝えれば、理性的な脳も納得させることができて、脳全体が「iPhoneを買おう!」と感じてくれるのです。

統計やデータでは、感情は動かせない

「統計やデータを使って、根拠を伝えるのが大事だ!」という話を聞いたことがある人は多いと思います。

確かに根拠となる統計やデータがあるのとないのとでは、説得力は大きく違ってきます。

でも、統計やデータが説得するのは、あくまでも理性的な脳のほう。

原始的な脳は言葉や数字を理解できないので、感情的な納得感は得られません。

「いい商品だってことはよく理解できたけど、なんとなく違和感がある。今必要とは思えない」そんなふうに思われてしまうのは、Whyのメッセージを伝えられてないからなのです。

熱狂的なファンを作るコンセプトの作り方

ゴールデンサークル理論をもとに、Appleのように熱狂的なファンを作るためのコンセプトの作り方を紹介しましょう。

①なぜそれをやっているのか?仕事にかける想い

まず第一に、あなたのビジネスの信念や価値観、仕事にかける想いを伝えましょう。

「なぜ今のビジネスをしているのか?」を伝えて納得してもらうことができれば、お客さんの共感を呼ぶことができます。

②どうやってベネフィットを提供するのか?理想の未来

次に、あなたのビジネスがお客さんにどんなベネフィットを提供するのかを伝えましょう。

どうやってお客さんを幸せにし、夢を叶えるのか。

ここで商品・サービスの良さやメリットだけを伝えるのでは不十分。

商品・サービスを手に入れることで、どんな未来が待っているのかを想像させるのがコツです。

③具体的にどんなことをするのか?商品の特徴

最後に、具体的な商品・サービスの特徴を伝えます。

最終ステップで初めて、商品について説明することがポイントです。

商品の特徴を一番最初に伝えるのではなく、最後に取っておくのが売れるコンセプトづくりのカギとなるでしょう。

おわりに

Appleのプレゼンでも取り入れられている、ゴールデンサークル理論について解説してきました。

商品の特徴やメリットを伝えるのではなく、まず自分の信念・想いを伝える。

このようにWhy→How→Whatを伝えていくだけで、きっとビジネスがうまく回り始めますよ。