脳科学的にセールスを成功させる「メンタルアカウンティング(心の会計)」

この知識はこんな人にオススメ

「セールスに苦手意識を持っている人」

「売り上げを増やすためのテクニックを知りたい人」

メンタルアカウンティング(心の会計)とは?

行動経済学の世界で「メンタルアカウンティング」という言葉があります。

メンタル=心、アカウンティング=会計を意味する言葉で、「心の家計簿」と呼ばれることもあります。

メンタルアカウンティングを簡単に説明するなら、買い物によって心の中の財布が別々に分かれている…という現象のことを言います。

たとえば自分で稼いで貯めた100万円と、道端で拾った100万円があったら、人は自分で稼いだお金に大きな価値を置くということです。

稼いだお金と拾ったお金は、価値が違う

合理的に考えてみると、自分で稼いだ100万円も、拾った100万円も、寄付してもらった100万円も、ギャンブルで増やした100万円もどれも同じ金額です。

しかし私たちの心理としては、手に入れるのに苦労した100万円ほど、手放したくないと考えます。

ギャンブルで増やした100万円なら、散財して使い切ってしまってもいい。

でも、働いて貯めた100万円はちゃんと取っておきたい…。

同じ100万円でも、どうやって手に入れたかによって使い方が全く違ってくるんですね。

パソコンとコーヒーも、別の財布から支払っている

どうやって手に入れたかによって使い方が変わってしまう、つまり入手方法によって価値が変わることが、メンタルアカウンティングの考え方です。

他にも、私たちが30万円のパソコンを買うときと1杯100円のコーヒーを買うときも、メンタルアカウンティングが働いています。

お店でパソコンが2台置かれていて、Aのパソコンは30万100円、Bのパソコンは30万円だったとき、あえてBを選ぶ人は少ないと思います。

では、コーヒー屋さんで1杯200円のコーヒーAと、1杯100円のコーヒーBがあったらどうでしょうか?

普段から節約しようと考えている人なら、きっとBを選ぶはず。

無意識のムダ遣いには注意するべき

私たちはお金をいつも同じ価値で使っていると思い込んでいますが、実はメンタルアカウンティングによって別々の財布を使い分けています。

「パソコンを買うための財布」「コーヒーを買うための財布」のように心の中にたくさんの財布を持っているんですね。

さらに「コーヒーを買うための財布」も、「毎日のコーヒーのための財布」と「特別な日のコーヒーの財布」などにわかれています。

だから、デートで飲むスタバの1000円のコーヒーは安いと感じるけど、自分一人で飲む1000円のコーヒーは高いと感じるんですね。

メンタルアカウンティングのムダ遣いを減らす方法

このメンタルアカウンティングをしっかり理解しておかないと、買い物のたびにムダ遣いをしてしまう可能性が高まります。

「ジャケットを買う財布」「シャツを買う財布」「パンツを買う財布」「バッグを買う財布」のように、いくつもの財布を持っていれば、どんどん出費が膨らんでいくことでしょう。

でも、「普段着を買うための財布」という1つの財布だけを持っていれば、使いすぎを抑えることができるのです。

こうしたメンタルアカウンティングのムダ遣いを減らすために、以下のような方法があります。

1つの口座しかないことを意識する

買い物のときには、常に1つの財布しか持っていないことを意識するようにしましょう。

たとえば「生活費のための財布」「娯楽費のための財布」の2種類を持つことは、節約の大きな敵です。

なぜなら、「今月は生活費が節約できたから、少し娯楽のために使っちゃおう」と考える危険性があるからです。

そうではなく、「生活費のための財布」だけを心の中にイメージして、財布を増やさないようにしてみてください。

割引や限定価格に注意する

たとえばずっとほしかった5万円のジャケットが、割引価格の4万円で購入できたとしましょう。

すると、メンタルアカウンティングによって「1万円得した」という気分になってしまいます。

その結果、1万円のアクセサリーを追加で購入し、お金を使い過ぎてしまうのです。

買い物をするときには「割引」「限定価格」といった言葉に注意して、元の価格を考えないようにしましょう。

オプションメニューに手を出さない

たとえば100万円のクルマのように高額な商品になると、たとえば2万円のメンテナンスキットや、3万円のドライブレコーダーは安く感じられますよね。

「100万円と105万円なんてほとんど違わないから、別にいいや」そんなふうに感じますが、よく考えると5万円あればいろんなことができるはずです。

特に高額商品についてくるオプションメニューは、私たちの金銭感覚をマヒさせてしまう危険性があるので、なるべく手を出さないようにするのが賢明です。

ネガティブな気分で買い物する

気分がポジティブなときに買い物をすると、営業マンの話や広告を見て、衝動買いをしてしまう可能性が高くなります。

一方でネガティブな気分のときは、買い物にも慎重になるためムダ遣いが減りやすい傾向にあります。

慎重に考えて大事なものを買いたいときには、あえてネガティブな気分のときに買い物をするといいかもしれません。

メンタルアカウンティングで売り上げを伸ばす方法

自分でもビジネスを手掛けている方なら、このメンタルアカウンティングをぜひセールスにも取り入れてほしいと思います。

メンタルアカウンティングの知識を応用するだけでも、これまでよりずっと売り上げが増えることに気づくはず。

考え方も難しいものではなく、先ほどのメンタルアカウンティング対策を逆にすればOKです。

2つ目の財布を意識させる

たとえばお客さんの「娯楽のための財布」から100万円出してもらうことは難しいですが、「自己投資のための財布」や「将来の子どものための財布」から100万円払ってもらうことは難しくありません。

そこで商品の説明をするときには、単なる娯楽のための商品ではなく、自己投資将来の子どもの役に立つことを強調してみましょう。

そうすることで、同じ金額でも圧倒的に売れやすくなるでしょう。

割引や限定価格を用意する

「2つ買ったら2個目は半額」
「通常価格1万円のところ、今だけ3000円」

このような形で、割引や限定価格を用意するのもポイントです。

「割引のおかげでお金が浮いたから、自由に使える金額が増えた!」と思ってもらえれば、追加で商品を買ってもらえる可能性も高まりますよ。

オプションメニューを売り込む

メンタルアカウンティングの働きによって、100万円の商品に3万円や5万円のオプションを追加する…みたいなシーンでは、財布の紐がゆるみがちになります。

商品を用意するときには、高額な商品の中に少額のオプションも混ぜておいて、大きな金額ではないように感じてもらうのがコツです。

10万円の商品に1000円のオプション、100万円の商品に1万円のオプション…というように、価格の差が大きければ大きいほど効果的です。

ポジティブな気分で買い物させる

ネガティブな気分よりもポジティブな気分のほうが、ものを買ってもらいやすくなります。

ポジティブな気分だと、人の話を聞きたい、衝動買いしたいという感情が生まれるからです。

そのため商品ページも明るくポジティブな雰囲気を心がけたり、お客さんの気分を良くするようなトークを心がけることが有効です。

おわりに

メンタルアカウンティングはうまく対策しないとムダ遣いの原因になってしまいます。

逆に言えば、商品を売りたい人からすればメンタルアカウンティングは大きな武器になるということでもあります。

セールスがうまくいかずに悩んでいるなら、ぜひメンタルアカウンティングの知識も取り入れてみてくださいね。